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2019年08月17日(土)

#生誕110年 土門拳の撮った2冊のアルバム

あっついですね。飯森山公園も蝉の大合唱。あっついですね。飯森山公園も蝉の大合唱。

こんにちは、スタッフKです。暑い毎日ですが、うれしい話題をひとつ。去る5月に当館が放映されたNHKEテレ日曜美術館が「アートシーン特別編」として再放送されます。前回見逃した方も、ぜひご覧くださいね。


さて、現在当館では「生誕110年 土門拳 鬼が撮った日本」展を開催中で、土門が使った大型カメラや、絵や書、骨董コレクションなど、いつもはなかなかご紹介できないものも展示中です。中でも、ガラスケースに展示中の「東京女子高等師範学校(現お茶の水女子大)卒業記念アルバム1936」と「早稲田大学卒業記念アルバム1937」の2冊は超レア。


早稲田のアルバムの方は、10年前に岩波書店から「土門拳の早稲田1937」として復刻出版されたので、復刻版をご覧になった方もいるかもしれません。土門自身もまだ日本工房に入りたての青春期、学生たちとうちとけ、学内だけではなく下宿や銭湯など学生のプライベートまでも、自由に生き生きと活写し、文章も添えています。若き土門の才気がほとばしる、これは卒業記念アルバムを超えた「写真集」です。


東京女子高等師範学校の方は、このアルバムを当館に1990年頃に寄贈してくださった藤原美智子氏の著書「こころはいつもギャルソンヌ 私とミカの店の物語」(グラフ社刊)に詳しく書いてあるのですが、学生だった藤原さんご本人が、「日本工房」のグラフィック誌「NIPPON」に魅かれ、「ぜひ、私たちの卒業アルバムを作ってください」と日本工房主宰の名取洋之助氏に直談判して製作されたものだそうです。まだ昭和11年。その頃日本では珍しい透明プラスチックの表紙で、写真を大きな印画紙に焼き付けたプリントが、そのままリングで綴じてある、デザインも洗練された画期的なアルバム。多忙の名取氏に代わり、ほとんどは土門拳が撮影し、藤原さんも助手として走りまわったそうです。青春の喜び、勢いがしっかりと写っているこのアルバム。展示は、来月23日まで。ぜひ、お見逃しなく。


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2019/08/17 15:29 | 土門拳あれこれ | コメント(3)

2019年03月16日(土)

#演劇、拳!

お雛様でお迎えしていますお雛様でお迎えしています

こんにちは、スタッフKです。


ずいぶん春めいてきました。この時期は市内あちこちで「春灯し、酒田雛街道」を開催しており、古くから大事にされてきた貴重なお雛様を見ることができますが、土門拳記念館エントランスも、傘福や土門拳が撮影した「立雛」(京都・北村謹次郎氏蔵)の写真で、春の雰囲気です。


さて、今日の話題は、土門拳がテーマとなった演劇公演のお知らせです。423日(火)~26日(金)、東京両国にあるシアターX(カイ)で、平石耕一事務所第31回公演、土門拳生誕110年記念『拳 KEN ~土門拳とその弟子たち~』(作・演出:平石耕一)が上演されます。平石耕一事務所では2006年にも紀伊国屋ホールで土門拳をテーマにした演劇「いらかのなみ」を上演していますが、今回は13年の時を経て、さらに円熟した平石氏がまた新たに書き直した作品で、戦中・戦前・戦後「昭和」をにらみ続けた鬼《拳》とその弟子たちの姿を描いたものです。劇中には、ピアノ生演奏による役者の方々の迫力ある歌もちりばめられた臨場感ある舞台とのこと。

4日間の公演中、25日(木)2時から始まる公演の後には、土門拳の弟子ご本人である藤森武氏のアフタートークもあります。

土門拳が演劇になるって、どんな感じなんでしょうね?見てみたいですね。ご興味のある方、平石耕一事務所のオフィシャルブログのぞいてみてください。

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2019/03/16 14:15 | 土門拳あれこれ | コメント(0)

2018年12月09日(日)

土門拳は紅白歌合戦の審査員もつとめていた!

今日はイサムノグチの彫刻「土門さん」も雪の帽子今日はイサムノグチの彫刻「土門さん」も雪の帽子

こんにちは、スタッフKです。今日は急に本格的に雪が積もってびっくりです。いよいよ年も押し迫ってきましたね2019年カレンダーのご用意は終わりましたか?土門拳カレンダー、まだ在庫ありますよ、どうぞお忘れなく。


最近は昔ほどではないにしても、「やっぱり大晦日はみかんにこたつで紅白でしょう」という方もまだまだ多いでしょう。先日当館のスタッフが土門拳について調べていたら、1961(昭和36年)年1231NHK紅白歌合戦の審査員に土門拳の名前が!いや~、びっくり、これは知らなかったな~。


土門拳は1959年の暮れに九州筑豊で「筑豊のこどもたち」を撮影しました。撮影後軽い脳出血で倒れ、病床で編集者と筆談で進め2か月で完成した定価100円写真集「筑豊のこどもたち」は601月に刊行され、学生層、労働者たちから日本中に広がり10万部を超すベストセラーとなりました。また同年11月、映画「筑豊のこどもたち」が封切られ、続編の「るみえちゃんはお父さんが死んだ」も出版。昭和36年には土門拳は日本中誰もが知る存在だったのでしょう。


この第12回紅白歌合戦の他の審査員は、仲代達矢、大鵬幸喜、勅使河原霞(草月家元)、森光子といった方々です。出場歌手はトップが朝丘雪路。雪村いずみ、村田英雄、こまどり姉妹、江利チエミ、フランク永井、美空ひばり、橋幸夫、森重久彌、ザ・ピーナッツ、淡谷のり子、坂本九、などの面々が続き、トリは島倉千代子と三波春夫。いやいや、ホント昭和ど真ん中だわ。(って、全部顔がわかる私のトシが皆さん想像できますね)


今から30年ほど前に、仲代達矢さんが数回土門拳記念館にいらしてくださったことがあります。ドキドキしながら握手していただきました。その時この紅白のことを知っていたら、当時のことを覚えていたか聞けたのにな~、残念。

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2018/12/09 16:05 | 土門拳あれこれ | コメント(0)

2018年06月01日(金)

「土門拳」の名が冠につく第3の賞とは?

今朝は小雨。公園のヤマボウシがしっとり濡れています今朝は小雨。公園のヤマボウシがしっとり濡れています

こんにちは、スタッフKです。

前回ブログで、当館記念室で開催した「第45回土門拳杯入賞作品展」のことをちらっと書きました。この写真展、当館では終わってしまったのですが、614日~19日に市総合文化センターでも展示予定です。さて、土門拳の名前の付く賞は、毎日新聞社主催の「土門拳賞」と、酒田市主催の「酒田市土門拳文化賞」があるのは、ちょっと詳しい方ならご存知と思います。しかし、「土門拳杯」については?うーん、もし「土門拳検定」なぞがあったら、高難度レベルになりそうなレア知識ですね。しかし、この「土門拳杯」、「土門拳賞」より「酒田市土門拳文化賞」よりずっと昔、土門拳記念館が開館するより9年も前からある賞で、実に45年もの歴史があるのです。

時は昭和491974)年、土門拳は酒田市名誉市民第一号となりました。その時にご自身の全作品を酒田に寄贈すると言ったことがきっかけで当館誕生に至るわけですが、同時に酒田の写真芸術向上のためにと、土門先生自ら「土門拳杯」カップを、全酒田写真連盟に寄贈されました。先生がお元気なうちは、5月の酒田山王祭の夜、会員の目の前で自ら写真の審査講評を行い、受賞者には先生直筆の色紙が贈られたそうです。そして、今でもそのカップは大事に受け継がれ、コンテストも毎年実施され(現在の審査は弟子である藤森武先生)、今年は初めて上位作品を当館で展示しました。土門先生の、故郷酒田への、またアマチュア写真家への愛情が、今もこうして連綿と続いています。


2018/06/01 09:26 | 土門拳あれこれ | コメント(0)

2018年04月10日(火)

入学式シーズン、土門拳の母校は?

「土門拳の昭和」(クレヴィス刊)年譜ページの土門拳「土門拳の昭和」(クレヴィス刊)年譜ページの土門拳

こんにちは、スタッフKです。今日は410日。全国どこの学校でも、新入生が緊張しつつピカピカの生活を始めていることでしょう。さて、土門拳は…?

阿部博行著『土門拳生涯とその時代』など、書かれた本や年譜から、子供時代を追ってみました。


土門拳は、生まれは酒田ですが、小学校に入る前に東京へ引っ越し、7歳の大正6年(1917)年春、麻布区の飯倉尋常小学校に入学しました。その後、横浜に引っ越し、尋常磯子小学校、尋常二谷小学校へと転校して、大正123月に卒業しました。チャンバラが大好きな腕白少年。成績がよく、負けず嫌いで、特に絵や習字が大得意。親孝行で本が好き。いつも級長か副級長で卒業式には答辞を読んだそうです。

その後進学したのは神奈川県立横浜第二中学校。現在の神奈川県立横浜翠嵐高校です。ここにはとても書ききれないのですが、青年期の土門という人物も、学校も、教師や友人も、それはとても魅力的。もちろん苦労も並大抵ではなかったようですが、この学校生活があったからこその、その後の土門拳なのでしょう。

土門は卒業後50年たった昭和52年(1977)に母校を訪れ、感謝をこめて大型欅額装の自分の作品2点を寄贈しています。昨年、翠嵐会(翠嵐高校同窓会)会長の江成さんが当館にいらしてくださり、学校に土門拳作品が展示されている写真をいただきました。翠嵐会のHPにも土門拳が紹介されています。作曲家の高木東六さんや脚本家の大森美香さんも同校出身なのですね。

たまに「横浜から来ましたが、私は土門拳さんと同じ翠嵐の出身です。学校で作品を見た覚えがあります。」と声をかけてくださるご来館者がいます。酒田と横浜、ご縁は今も繋がっています。


2018/04/10 16:15 | 土門拳あれこれ | コメント(0)

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