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2020年09月15日(火)

#土門拳命日、没後30年

土門作品に囲まれた「炎」土門作品に囲まれた「炎」

こんにちは、スタッフKです。長くブログから遠ざかってしまっていました。


誰もが感じていることと思いますが、当たり前な日常は、案外もろいものでした。春からずっと、小さな怖さと戸惑いの中、焦りと、どこか落ち着かない日々。改めて、いろんな場面でコロナと戦っていらっしゃる方々、ありがとうございます。また、こうした中、来館してくださる方、本当にありがとうございます。当館でも、「もう、ほとんど大丈夫」と日本中の皆さんが安心できる日まで、気を引き締めていかねばなりません。


土門の作品の仏像たちは、千年以上もの間、その地に起こった戦乱や疫病や自然災害を繰り返し見てきたのだろうと、長い時間に思いを馳せます。昔から多くの人々が、様々な苦労をするたびに、この仏像たちの前でいろんなことを考えて、拝んできたんだろうと。受け止めて、受け入れて、乗り越えてきた。写真を見て、そんなことを想像すると「心配はいろいろあるけど、今日も、出来ることをできる分、やっていこう」と思えてきます。


今日9月15日は、没後30年の土門拳の命日。館内では、畠山秀樹氏が土門拳へのオマージュと銘打って、館内にフラワーアート作品を展示してくれました(18日まで)。メインの展示室では、室生寺のモノクロ作品に囲まれて、炎をテーマにした畠山作品が。ほかにも随所に畠山さん独特の感性の作品が、土門拳記念館の光や水、オブジェや庭と溶け合って、この一期一会の空間を作り上げています。人の思いがご縁をつなぎ、新しいものが作られていく。土門先生もきっと喜んでいるはず。畠山さん本当にありがとうございました。


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2020/09/15 09:35 | 最近のあれこれ | コメント(5)

2020年01月19日(日)

#住みたい田舎 酒田が全国ナンバーワン!

1月号のクレードル、庄内俳句紀行は土門拳記念館が舞台です1月号のクレードル、庄内俳句紀行は土門拳記念館が舞台です

こんにちは、スタッフKです。朝、開館前に館内を一巡り。静かな展示室で、今日も土門作品が凛として迎えてくれます。奥の廊下を進むと、雪を頂く鳥海山と拳湖で遊ぶカモやシラサギが。う~ん、今日も一日頑張るぞ~っと、背中を伸ばして深呼吸。


先日、宝島社の雑誌『田舎暮らしの本』で酒田市が、人口10万人以上の「大きなまち シニア世代が住みたい部門」で、な・な・なんと全国1位となりました!各部門3位までのランキングで西日本が多く入る中、東北で唯一、酒田。


え~?!いちい~?!なんで~?!どこが~?!まったく罰当たりな話ですが、一番びっくりしたのは、酒田に住む私たちかもしれません。

でも、考えてみれば、ここは、すぐ近くに山があり、海があり、車でちょこっと走れば、四季折々自然豊かな美しい風景がたっくさん広がっています。水、米、酒、魚、肉、野菜、新鮮な旬の食材が豊富で、何でもおいしい。温泉も近い。また、ものすご~く田舎というわけではないので、医者も買い物も、まあまあ便利。ご近所付き合いも、それぞれ良い距離感でいけそうだし、なかなかセンスのいいお店もある。いくつかの美術館をはじめ、日々の暮らしの中でも、ちょっといい時間を過ごせる施設がある。庄内空港も近いし。

そうか、私たちが当たり前の日々の中で意識していなかっただけで、酒田は全国の中でも本当にいいところなんだと、よその方から教えてもらったようです。これを励みに、土門拳記念館が酒田にあることが、若い人も含めた総合ランキングアップにもっともっと貢献できるように、酒田に住む皆さんの「いいところ」にいつも思ってもらえるように、努めていきます。

しかし、何といっても全国1位だよ!土地も安くていっぱいあるよ!移住したい人、ホントに来て~!


2020/01/19 16:13 | 最近のあれこれ | コメント(7)

2019年07月27日(土)

#生誕110年 土門拳 鬼が撮った日本

今朝のハス。3つの花はもう午後には散るでしょう今朝のハス。3つの花はもう午後には散るでしょう

こんにちは、スタッフKです。


久しぶりにブログ書かせていただきます。先月当地は大きい地震がありましたが、お陰様で作品も館も職員も被害はありませんでした。地震の後には、全国各地の皆様から「大丈夫?」とお電話やメールをいただき、改めて、こんなに多くの方に応援していただいているのだとありがたく力強く感じたところでした。本当にありがとうございました。まだ復旧していない地域の皆様、また、他地域でも数々の災害等に見舞われた方々、一日も早く安心な日常が戻りますようお祈りいたしております。

つい3日前、当館で咲く中尊寺ハスの蕾が3つ、ふわっと開きました。このハスについては、当館HPの「奇跡の中尊寺ハス」に詳しく掲載中ですが、令和初の開花、何といっても800年の時を超えて咲く花は美しく、歴史ロマンを感じます。


さて、先週から当館では「生誕110年 土門拳 鬼が撮った日本」展を開催中です。酒田で生まれ、24歳で写真と出会い、独自のこだわりで日本の写真文化を切り開いていった「写真の鬼」土門拳。今回の展示では、生涯に遺した名作の数々とともに、実際に使ったカメラや道具、絵画や書、骨董コレクションなど、いつもは公開していない貴重なものも展示しております。先日いらした方が入館前に受付で「どうしてタイトルが鬼なの?」と尋ねられましたが、帰る時には「鬼の意味がよくわかりました。すごいですね」と感想を言われてお帰りになりました。


831日には、土門拳と寝食を共にし、執念の撮影の助手をつとめた堤勝雄先生に土門拳を語っていただくイベントを開催します。お話から生きた土門拳の魅力、人間像を感じることができるでしょう。どうぞお楽しみに。


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2019/07/27 10:02 | 最近のあれこれ | コメント(12)

2019年05月04日(土)

話題の「#東寺展」、さて当館では…

今日の飯森山公園。青空に鳥海山と八重桜が美しい!今日の飯森山公園。青空に鳥海山と八重桜が美しい!

こんにちは、スタッフKです。


10連休も後半へ。令和フィーバーたけなわですが、あなたは、どこでどう過ごしましたか?私は、ここで連日多くのお客様をお迎えしています。この特別な節目に土門拳記念館にお越しの皆様、ありがどの~。公園の八重桜も今が真っ盛りです。


さて、上野のトーハク(東京国立博物館)では現在、特別展「国宝東寺―空海と仏像曼荼羅」が開催され、ずいぶん人気のようですね(62日まで)。土門拳も東寺を1940年、1943年頃、196465年とたびたび訪れ、多くの作品を残しています。寺の佇まい、数多くの仏像、絵画、書、仏具と土門拳にとって東寺はまさに宝の山!撮りたいものが山ほどあったでしょう。これらの作品は、昭和401965)写真集「大師のみてら 東寺」として東寺文化財保存会から発刊されています。


当館でも、土門が東寺を撮影した作品を数多く収蔵しています。平安初期から変わらない広い境内に建つ建築群、仏像界きっての(?)イケメン仏像と名高い帝釈天や梵天像、迫力の不動明王や持国天、肖像画や曼荼羅を描いた絵、書「風信帖」、土門先生が最も気に入ったという観智院の簀子縁(そして、その廊下に打たれてある和釘)、唐時代から伝わる楽器や靴などの密教法具、などなど。こだわりの眼で捉えた作品が残されています。が、今はその中から、1点だけ「東寺講堂内陣諸仏」を展示しています。たった1点ですが、荘厳な立体曼荼羅の世界が、写真から静かに立ち上がるよう。写真の中にある時空に吸い込まれそうな気がします。


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2019/05/04 09:42 | 最近のあれこれ | コメント(63)

2019年01月09日(水)

酒田、人生の重なりが街をつくっている

1月から当館では「室生寺」ほかを展示中です1月から当館では「室生寺」ほかを展示中です

こんにちは、スタッフKです。今年はどんな年越しでしたか?


私はこの年末年始はゆっくり本を読み、映画も見ることができました。映画は渡辺智史監督「YUKIGUNI」。そして本は講談社文庫、岡田芳郎著「世界一の映画館と日本一のフランス料理店を山形県酒田につくった男はなぜ忘れ去られたのか」。映画は昨年から上映中だし、本も2008年に出版されているので、えー、今なの?遅れてる…と思われたかもしれませんが、出会うタイミングというか、ご縁が今私に巡ってきたという感じです。


先月、レストラン「ル・ポットフー」で忘年会をした際に、たまたまこの文庫本(201811月第2刷発行)を見つけて、「単行本は読まないでしまったから、この機会に」と手に取りました。これは本のタイトル通り、世界一の映画館「グリーン・ハウス」と日本一のフランス料理店「ル・ポットフー」を酒田に作った、佐藤久一氏の生涯をたどるノンフィクションです。


土門拳も酒田に来ると必ず佐藤久一さんのいる「欅」や「ル・ポットフー」を訪れ、彼のフランス料理を食べたといいます。そして、今もル・ポットフー店内には、1975年の開店当時土門拳が贈ったというピカソのデッサンが飾られているのです。


昭和59年頃、初代館長の三木淳先生に連れられて初めてル・ポットフーに行った田舎娘の私は、佐藤氏が一皿一皿紹介してくれる、それまでお目にかかったことも無い料理(ガサエビのスープやパイシチューなど。メニュー上はもちろんもっとかっこいい名前だった)の美味しさにびっくり。この本を読んで、佐藤久一氏やマダム鈴木新菜さんの醸し出す、店の大人の品格・雰囲気に圧倒され憧れたあの時の胸の高まりが、鮮明に懐かしく蘇りました。


また、映画「YUKIGUNI」はケルンの92歳現役バーテンダー井山計一さんのドキュメンタリー。具体的な映画の紹介はここでは控えるとして、別のドキュメンタリー映画「世界一と言われた映画館」ともあわせて、井山計一さんや佐藤久一さんはもちろん、その他にも重なり合ういろんな人生に思いを馳せ、その重みがジワリと心に響いてきたのでした。酒田ってこんな街だったんだ、人生と出会いが街をつくっているんだ。

本や映画によって、忘れかけていた大切な宝物が蘇ってきた気持ちです。この魅力的な酒田にあった(いや今も生きている)粋な文化に宿る思いを、当館でも受け継いでいくのだ、という気持ちを新たにした2019年の幕開けでした。

※上記2本の映画は、今月から東京ほかでも上映されています。ぜひ、ご覧ください。

 


2019/01/09 12:23 | 最近のあれこれ | コメント(2)

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