酒田市土門拳文化賞 第24回の結果報告

「酒田市土門拳文化賞」は、本市出身の世界的な写真家・土門拳の芸術文化への功績を記念し、写真文化、写真芸術の振興を目的に平成6年6月に創設した賞です。
24回目を迎えた今回は、全国36都道府県の131人から146テーマの作品が寄せられました。
平成30年1月15日(月)、東京において選考委員会を開催し、次のとおり受賞者が決定したので、お知らせいたします。

1.審査員

江成 常夫 氏   写真家・九州産業大学名誉教授
大西 みつぐ 氏  写真家・大阪芸術大学客員教授
藤森 武 氏    写真家・公益財団法人 土門拳記念館学芸担当理事

2.選考結果

酒田市土門拳文化賞(1点)

石津武史氏(奈良県北葛城郡王寺町)
「「俺は負けない!」終(つい)の住処(すみか)で…」(モノクロ30枚組)

酒田市土門拳文化賞奨励賞(3点|受付番号順)

平野君子氏(神奈川県相模原市)
「命のうた 響き合うリズム」(カラー30枚組)
上原ゆうこ氏(宮崎県宮崎市)
「里山の守人(もりびと)たち」(カラー30枚組)
清水匡氏(千葉県船橋市)
「Children at Risk」(カラー30枚組)

平野君子氏の作品より

上原ゆうこ氏の作品より

清水 匤氏の作品より


3.今後のスケジュール

授賞式 平成30年3月4日(日)午前10時〜 会場:土門拳記念館
受賞作品展 平成30年3月3日(土)~ 4月15日(日)土門拳記念館
平成30年6月5日(火)~ 6月11日(月) ニコンプラザ新宿
平成30年11月29日(木)~ 12月5日(水) ニコンプラザ大阪

4.選考委員講評

◎ 総評江成 常夫
北朝鮮の核の脅威や人命軽視、基地の沖縄、安倍一強のいびつな政治―。この一年、見過ごすことのできない難問を、新聞テレビが報じた。こうした時代と社会を正面から見据えることが、写真を志す基本と言える。
プロ写真家への登竜門を標榜する、土門拳文化賞は今年24回を数え、高い水準の146作が寄せられた。作品は国内はじめアジア、アメリカ、中東にまで及び、テーマも時代と社会を見詰めた災害、貧困、過疎、命の尊厳など多岐にわたった。
第一次審査で28作が選ばれたが、どの作も鋭い洞察力、確かな技術、対象に向けた真摯な眼差し等々、すでにプロとしての作家性を備えた優れた作品が多かった。
最終段階で9作が入賞候補として残り、国内、国外、テーマ性を念頭に、多面的に検討された。結果として、圧倒的な力を持つ石津さんの大阪・釜ヶ崎の人間像が文化賞を獲得した。奨励賞も含め今回の審査で、特に印象的だったのは、15回から2回の応募者が57人に及び、土門拳文化賞に対する熱い思いが読み取れた。こうしたエネルギーが結果として、応募作全体の完成度を高め、年ごとの入賞を狭き門にしている。
◎ 土門拳文化賞受賞作品について藤森 武
「「俺は負けない!」終(つい)の住処(すみか)で…」 石津 武史作品
石津さんは大阪・釜ヶ崎周辺のドヤ街の中で生きる人々の人間模様を写して第17回、奨励賞を受賞している。
釜ヶ崎を終の棲家として生きる人々を奈良に住みながら十年間に渡って写し続けている。今回は釜ヶ崎の三角公園に設置した写真小屋での肖像写真である。
上半身を写した男性像はどの写真も表情豊かで、撮られることを楽しんでいる。同一ポーズの写真がない。撮り手と被写体が一心同体となっている。釜ヶ崎の人々と心を許し合っている証拠であろう。
写真からは、この地に生きる人々の過去の負の部分や悲愴感は微塵もなく、悲壮美を見事に表現している。虚勢を張ったポーズからは、かえって痛々しさが垣間見れる。組写真ならではの不思議な写真群である。
背景紙の前で写したモノクロ写真、ローキートーンの陰影のある仕上げは作品をより力強いものとしている。
◎ 土門拳文化賞奨励賞受賞作品について大西 みつぐ
「命のうた 響き合うリズム」 平野 君子作品
一昨年夏、神奈川県の障害者施設での大惨事は私たちの記憶に新しい。作者は近隣の人間として、またかつて勤めていた研究学級介助員として心を痛めると同時に、「一人ひとりが、皆、大切です」ということの実践を「水泳教室」の写真撮影を通して行ってきた。防水カメラを持ち、同じ水中で子供さんたちの生き生きとした姿を活写している。タイトルにも表現されているように、私たちは誰もがこの時代に等しく生きていく権利を持っていることを写真でしっかり伝えている。
「里山の守人(もりびと)たち」 上原 ゆうこ作品
4世帯6人の「生活」。宮崎県日南市の山間部の集落に3年間通い取材した力作。先祖代々の土地に生きることの困難さと幸せ、四季折々の暮らし、祭り、喜び。本当の豊かさとは何かを小さな地域からしっかり見つめている。それらは表面的な写真撮影に終わることなく、人々との誠実な交流の成果として丁寧で美しいプリントに結実している。いつの時代も、写真はこうした庶民の「アルバム」を大切な証として、未来永劫、残してくれるだろう。
「Children at Risk」 清水 匡作品
貧困の問題は国を問わず、この先も険しい課題として私たちに突きつけられている。フィリピンのストリートチルドレンの置かれている現実に深く切り込んだ写真群は緊迫感にあふれている。 NGO職員としての責務だけでなく、カメラを持つ人間として、いつしか慈しみの精神に貫かれたドキュメントまでに昇華していったのではないか。「at Risk」のリスクとは非行だけでなく、虐待という深刻な問題にも及ぶ。カメラが世界への窓として着実に機能している。

5.応募状況

年度 応募者数(男・女) テーマ数(モノクロ・カラー・混合) 作品枚数 都道府県
H29 24 131(100・31) 146(80・60・6) 3,923 36
H28 23 131(111・20) 143(56・75・12) 3,879 36
H27 22 135(110・25) 143(52・83・8) 3,892 35
H26 21 117(98・19) 130(64・62・4) 3,446 33
H25 20 128(105・23) 140(50・78・12) 3,632 41
H24 19 147(121・26) 155(63・79・13) 3,981 36
H23 18 156(141・15) 161(53・102・4) 4,179 41
H22 17 144(127・17) 151(68・79・4) 3,867 37
H21 16 136(107・29) 154(53・93・8) 2,979 35
H20 15 127(112・15) 134(43・89・2) 2,902 36
H19 14 147(121・26) 155(56・94・5) 3,442 40
H18 13 101(81・20) 116(57・53・6) 2,861 30
H17 12 111(87・24) 117(66・48・3) 2,999 32
H16 11 124(95・29) 124(51・69・4) 2,848 36
H15 10 110(92・18) 120(56・61・3) 2,849 29
H14 9 103(84・19) 109(49・54・6) 2,808 30
H13 8 136(114・22) 142(68・68・6) 3,311 35
H12 7 115(97・18) 124(75・47・2) 3,006 38
H11 6 119(96・23) 127(67・58・2) 2,739 34
H10 5 139(108・31) 150(74・71・5) 3,134 36
H09 4 138(110・28) 151(82・67・2) 3,144 37
H08 3 151(124・27) 170(80・86・4) 2,835 34
H07 2 104( 93・11) 114(50・59・5) 1,938 34
H06 1 108(103・ 5) 130(62・66・2) 2,453 37

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〒998-0055 山形県酒田市飯森山2−13(飯森山公園内)
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電話/FAX:0234-31-0028

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