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第17回 酒田市土門拳文化賞受賞者決定のお知らせ
「酒田市土門拳文化賞」は、本市出身の世界的な写真家・土門拳の文化芸術への功績を記念し、
写真文化、写真芸術の振興を目的に平成6年6月に創設した賞です。
 17回目を迎えた今回は、全国の144人から151テーマの作品が寄せられました。
 平成23年2月10日(木)、東京において土門拳文化賞の選考委員会を開催し、
次のとおり受賞者が決定しましたので、お知らせいたします。
1.選考委員
江 成 常 夫 (神奈川県相模原市) 写真家・九州産業大学大学院名誉教授
大 西 みつぐ (東京都江戸川区) 写真家・武蔵野美術大学非常勤講師
藤 森 武 (東京都練馬区) 写真家・(財)土門拳記念館学芸担当理事


2.選考結果
◎土門拳文化賞(1点)
いちかわ えみ
市川 恵美氏(静岡県浜松市)
 
「うらうへ」
(カラー 30枚組)


○土門拳文化賞奨励賞(2点、受付番号順)
くぼ  まさひこ
久保 正彦氏(東京都練馬区)

「その先に見えるもの」
(モノクロ 30枚組)
いしづ たけし
石津 武史氏(奈良県王寺町)
ひとかけら うろこ  
「一片の鱗 <漂着の街>」
(カラー 30枚組)


3.受賞作品展
 受賞作品展
   平成23年3月20日(日)〜4月17日(日) 土門拳記念館
   平成23年5月17日(火)〜5月30日(月) 新宿ニコンサロン


4.選考委員講評
○ 総 評
江成 常夫

 審査の場で応募された作品と向い合う時、常に頭に浮ぶのは人間への問いです。人間の存在が社会や時代と連係し、そこに作品に込められた評価が自然と立ちあがってくるからです。
 17回目を迎えた今年の土門拳文化賞にも、昨年を上回る点数が全国から寄せられました。点数だけでなく、対象と向き合ううえのモチベーションやテーマ性が、回を重ねるごと明確になり、結果として作品全体が高度化し、土門拳文化賞の方向と社会的位置づけがすっかり定着した、と言っても過言ではないと思います。
 今回の応募作を、おおざっぱに俯瞰しますと、海外ものが比較的少なく、国内の日常に目を向けた作が多かったことは、表現することの原点を再確認する意味で一つの収穫でした。
 もう一つの収穫は文化賞を獲得した、市川恵美さんの作品です。市川さんは生命の源泉である「水」をキーワードに、深い思索と固有の感性で、人間存在の明と暗をみごとに視覚化しています。人間の生と死を家族の絆を通し視覚化した、文化賞候補の一作が、公表をめぐって辞退され、非常に残念だったことを付記しておきます。

○ 土門拳文化賞受賞作品について
藤森 武
 「うらうへ」 市川 恵美 作品
 宇宙の森羅万象の中から「水」をテーマにした写真群。水の様々な表情をとらえた心象風景が大半を占める。その作品は水という液体を素材にした抽象的前衛絵画となり確かな審美眼と構成力を持っている。
 一方で人間が生きる源である「水」に託して、人間と自然の輪廻転生とは何かを表現している。独自の美意識による宇宙的空間と時間の無限の連続性を写した作者の深い思想性を見ることができる。水が映し出すものの裏には歴史があり人生がある。タイトル「うらうへ」も引きつける。
 記憶を記録に変える写真方法の奥深さを又一つ教えられた気がする。五年に亘る「水」のテーマ撮影で、作者の市川さんは「偶然ながら必然と思える人や自然との出会いがあって、できた作品」というが、文化賞を手に入れたことも偶然を必然にしてしまう作者の念力を感じる。

○ 土門拳文化賞奨励賞受賞作品について
大西 みつぐ
 「その先に見えるもの」 久保 正彦 作品
 昨年11月に総選挙が実施されたミャンマー。アウン・サン・スー・チーさんの自宅軟禁も解除され、ミャンマーの今後がどのように民主化に向かうか国際的にも注目されている。作者は2006年と2010年に現地を訪れ、武装勢力によるテロ、災害など幾度かの困難に負けず、逞しくまた希望をもって生きようとする人々に誠実なカメラアイをもって接してきた。ドキュメンツの王道を行くような的確な撮り方は、アマチュアの域を超えるものをもっている。

ひとかけら うろこ
 「一片の鱗 <漂着の街>」 石津 武史 作品
 人とどのように立ち会うか。それはカメラ以前の問題でもあろう。ましてや「他者」よりも「ワタシ」が常に中心になっていく昨今において、そこに人が生きて存在しているという事実をお互いが認めずして、この国の繁栄などあるはずもない。作者はさまざまな人生模様を背負い込んだ人々と膝を交え語りつつ、生きる証をシャッターに託しているように思える。地域が果たす役割とともに、無縁社会を作り出してしまった現在への問いかけがここにある。


5.応募状況

年度 応募者数(男・女) テーマ数(モノクロ・カラー・混合) 作品枚数 都道府県
H22 17 144(127・17) 151(68・79・4) 3,867 37
H21 16 136(107・29) 154(53・93・8) 2,979 35
H20 15 127(112・15) 134(43・89・2) 2,902 36
H19 14 147(121・26) 155(56・94・5) 3,442 40
H18 13 101(81・20) 116(57・53・6) 2,861 30
H17 12 111(87・24) 117(66・48・3) 2,999 32
H16 11 124(95・29) 124(51・69・4) 2,848 36
H15 10 110(92・18) 120(56・61・3) 2,849 29
H14 9 103(84・19) 109(49・54・6) 2,808 30
H13 8 136(114・22) 142(68・68・6) 3,311 35
H12 7 115( 97・18) 124(75・47・2) 3,006 38
H11 6 119( 96・23) 127(67・58・2) 2,739 34
H10 5 139(108・31) 150(74・71・5) 3,134 36
H09 4 138(110・28) 151(82・67・2) 3,144 37
H08 3 151(124・27) 170(80・86・4) 2,835 34
H07 2 104( 93・11) 114(50・59・5) 1,938 34
H06 1 108(103・ 5) 130(62・66・2) 2,453 37
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