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第16回 酒田市土門拳文化賞受賞者決定のお知らせ
「酒田市土門拳文化賞」は、本市出身の世界的な写真家・土門拳の文化芸術への功績を記念し、
写真文化、写真芸術の振興を目的に平成6年6月に創設した賞です。
 16回目を迎えた今回は、全国の136人から154テーマの作品が寄せられました。
 平成22年2月10日(水)、東京において土門拳文化賞の選考委員会を開催し、
次のとおり受賞者が決定しましたので、お知らせいたします。
1.選考委員
江 成 常 夫 (神奈川県相模原市) 写真家・九州産業大学大学院教授
大 西 みつぐ (東京都江戸川区) 写真家・武蔵野美術大学非常勤講師
藤 森 武 (東京都練馬区) 写真家・(財)土門拳記念館学芸担当理事


2.選考結果
◎土門拳文化賞(1点)
みす ゆきお
三栖 幸生氏(神奈川県厚木市)
 
「時景−ときけい−」
(モノクロ 30枚組)

○土門拳文化賞奨励賞(3点、受付番号順)
ほりえ まさお
堀江 柾夫氏(岐阜県岐阜市)

「海と里の記憶」
(モノクロ 30枚組)
やぎ しょうじ
八木 正司氏(岐阜県岐阜市)
「文楽伝承 岐阜・真桑文楽」
(モノクロ 30枚組)
きむら やすこ
木村 靖子氏(大阪府豊能町)
「消え去る まち」
(カラー 30枚組)


3.今後のスケジュール
[1]授賞式
   平成22年3月21日(日)午前10時〜
   会場:土門拳記念館

[2]受賞作品展
   平成22年3月21日(日)〜4月18日(日) 土門拳記念館
   平成22年5月18日(火)〜5月31日(月) 新宿ニコンサロン


4.選考委員講評
○ 総 評
江成 常夫

 土門拳生誕100年に当たる今年、土門拳文化賞は16回目を迎えた。この賞が創設された当初は、彩りのある風景や外国旅行のアルバム的な写真、祭りに象徴されるハレの日のスナップショットなど、いわば被写体に寄りかかった写真が少なくなかった。しかし、表現としての写真は風景であれ、人物であれ、貧困や紛争の場であっても、そこに作者固有の眼差し、あるいはメッセージが託されてはじめて作品化する。
 このことが回を重ねるごとに定着し、対象が自然なら環境問題として捉え、いびつな社会への問い、戦争悪を通し、明日への光明を求めるなど、写真が役割りとする社会と時代に機能する作品が多くなっている。応募地域もほぼ全国にわたり、テーマ数も平均135点と多少の増減はあっても毎年安定しており、この賞が、日本の写真界に広く認知されていることを示している。
 そして、今回、心を打たれたのは、大賞、奨励賞ともに、一つのテーマに10年、20年という長い時間をかけて取り組んだ作品がほとんどだったことである。それを可能にしたのは土門拳文化賞が求めている確固とした視点を各作者が持ち合わせているからにほかならない。明確な視点と強靭な持続こそが写真本来の道であることを特記したい。

○ 土門拳文化賞受賞作品について
藤森 武
 「時景 −ときけい−」 三栖 幸生 作品
 写真の使命は記録することにあり、カメラは記録する手段である。
 東京近郊は近年、東京のベッドタウンとして人口が増え続ける。神奈川県も例外ではなく町は日々変化している。作者は生まれ育った厚木市を中心に、急変する町の景色を「記憶の自分史」として20年以上の永きに渡って記録し続けている。
 記憶ほど曖昧なものはない。記憶を記録に変える最大の武器はカメラである。
 「時景」はモノクロフィルムを中判カメラ(6×7版)で撮影し、忠実な記録を試みている。
 人物はほとんど写っていない。写っていても自然の中の一部の点景にすぎない。何故か写真一枚一枚に生活している人間の臭いがする。
 組写真を見るとドキュメンタリー小説を読んでいるような錯覚に陥る。
○ 土門拳文化賞奨励賞受賞作品について
大西 みつぐ
 「海と里の記憶(日本海沿岸と山里の暮らし)」 堀江 柾夫 作品
 日本海沿岸と山里の暮しぶりを「一期一会」に支えられ撮り続けてきた作品は、一枚づつ的確な技術力と表現方法により成り立っている。そうした「うまさ」を越えて、被写体がしっかりした輪郭をもって立ち上がってくるのは、そこに「風土」という揺るぎない時間の積層があるからだ。作者もそのことを十二分に納得し、仕事柄、短い撮影行ではありながら,じっくり時間をかけて撮りためてきたその努力が評価された。

 「文楽伝承 岐阜・真桑文楽」 八木 正司 作品
 岐阜県本巣市真桑に江戸期より伝わる「真桑操り人形浄瑠璃」を40年間にわたり取材した力作。1940年代初め、土門先生が撮られた「文楽」は舞台裏や道具なども克明に記録した日本の伝統美の表現であったが、この作品もまさにそれを継承するような見事なカメラ&レンズワークによる太い骨格をもった写真群である。またモノクロプリントとしての美しさも、仕上げの確かさとあいまって堪能できる。

 「消え去る まち」 木村 靖子 作品
 大阪伊丹市の旧中村地区。戦後「不法占拠」とみなされ困難な生活を強いられてきた朝鮮半島出身の人々の「わが町」の移転を住民側からの視点で描いた作品。そこには人々の土地や家族への想いとともに、事務的な「戦後処理」だけでは解決できない負の歴史が歴然と横たわっていることを知らされる。作者は人々の温かさを直接表現できないもどかしさを感じつつも、風景の喪失という点に絞り、集中力を発揮し執拗に撮影している。


5.応募状況

年度 応募者数(男・女) テーマ数(モノクロ・カラー・混合) 作品枚数 都道府県
H21 16 136(107・29) 154(53・93・8) 2,979 35
H20 15 127(112・15) 134(43・89・2) 2,902 36
H19 14 147(121・26) 155(56・94・5) 3,442 40
H18 13 101(81・20) 116(57・53・6) 2,861 30
H17 12 111(87・24) 117(66・48・3) 2,999 32
H16 11 124(95・29) 124(51・69・4) 2,848 36
H15 10 110(92・18) 120(56・61・3) 2,849 29
H14 9 103(84・19) 109(49・54・6) 2,808 30
H13 8 136(114・22) 142(68・68・6) 3,311 35
H12 7 115( 97・18) 124(75・47・2) 3,006 38
H11 6 119( 96・23) 127(67・58・2) 2,739 34
H10 5 139(108・31) 150(74・71・5) 3,134 36
H09 4 138(110・28) 151(82・67・2) 3,144 37
H08 3 151(124・27) 170(80・86・4) 2,835 34
H07 2 104( 93・11) 114(50・59・5) 1,938 34
H06 1 108(103・ 5) 130(62・66・2) 2,453 37
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